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第10回 KDDI 松原理氏・今川俊彦氏インタビュー 携帯電話の可能性を広げるau one ガジェット

au one ガジェットは、auの携帯に搭載されたフルのWebブラウザであるOperaのエンジンを利用して実現する、待ち受け画面上で動かすことができる新しいウィジェット機能です。携帯という大きなプラットフォームで展開されることにより、ウィジェットの多デバイス対応、また携帯そのものの利便性アップにも拍車をかけるものとして、さまざまな可能性に注目が集まっています。このau one ガジェットについて、KDDIの松原理氏・今川俊彦氏、Opera Softwareの壽かおり氏にうかがいました。

au one ガジェットの機能と特徴

--まず、そもそもau one ガジェットとは、どのようなものなのかをお聞かせください。

今川 :  ひと言で言いますと、携帯の待ち受け画面上で実行される簡単なアプリケーションの実行環境ということになります。コンテンツプロバイダ様が提供するガジェットをユーザ様がダウンロードして、任意のものを実行できるわけです。このガジェットは通信ができるようになっていますので、一定の間隔でさまざまな最新情報を待ち受け画面に表示することができます。  今までも待ち受け画面でEZアプリを実行できる環境はあったのですが、これですと待ち受け画面を完全に占拠してしまうので、起動している間はユーザ様が設定している壁紙や時計などはまったく表示されませんし、キー操作もそのEZアプリにすべて奪われてしまうわけです。  これに対してau one ガジェットですと、待ち受け画面の一部として存在しますので、ガジェットを起動したままいつも通り壁紙も表示できますし、メールを受信したりもできる。つまり、通常の待ち受け画面と共存する形で利用できるアプリケーション実行環境ということになります。

--EZケータイアレンジのような着せ替え機能もすでにありますが、au one ガジェットはどういう位置付けになるんでしょうか?

今川 :  ガジェットは待ち受け画面上で実行されるもので、着せ替えの場合ですと待ち受け画面やメニュー画面、アンテナマークなども含めることができますよね。したがって、現時点ではEZケータイアレンジとau one ガジェットは関連性がないのですが、将来的にはEZケータイアレンジのパーツとしてau one ガジェットが提供されても良いんじゃないかという風に考えています。

--au one ガジェットの導入に至った背景・経緯はどういったものだったのでしょうか?

今川 :  元々弊社ではEZニュースフラッシュという待ち受け画面上にニュースや天気などを表示するサービスを提供しているんですが、こちらはブラウザを起動していちいちWebにアクセスしなくても情報を表示することができるというものです。ただし、これらは待ち受け画面上に表示されるということで、ニュースや天気予報など基本的に誰もが必要とするような情報しか扱っていません。それに対して、ユーザ様のカスタマイズ指向が高まる中で、ユーザ様一人一人が好きな情報を表示できるようにしても良いんじゃないかということが導入のきっかけとなりました。  またau one ガジェットと同時に、知りたい情報をすぐに調べることができるようになると良いだろうということで、Googleの検索窓も導入された形になります。

--PCでのウィジェットやガジェットというと一画面上に複数起動しているイメージがあるんですが、au one ガジェットは一画面に表示できるのは一つだけで、左右キーで切り替えて利用するようになっています。これはやはり試行錯誤の上でこれが最も使いやすいということだったんでしょうか?

今川 :  そうですね。他社さんのサービスで待ち受け画面上に複数表示するようなものも出ていますが、携帯のインターフェースというのは、ユーザ様が体で覚えていくという部分、ブラインドタッチのような形で使うところが大きいですよね。そうした中で、PCのデスクトップのように複数のアイコンが浮かんでいてカーソルで選択するというのは、やはり携帯の操作に合わないだろうと。

--au one ガジェットの種類は、今後どんどん増えていくんでしょうか?

今川 :  導入当初につきましては、携帯の機能とコンテンツの両方を同時に開発する必要がありましたので、弊社が提供するガジェットと、ご協力いただいている一部のコンテンツプロバイダ様が提供するもののみとなっていました。しかし、2008年1月末からは一般のコンテンツプロバイダからの企画のエントリーも承っております。また2月から3月にかけて「EZセミナー」ということで、コンテンツの作り方などもご案内しておりました。こちらのセミナーには200社の方においでいただき、反響もかなりいただいていますので、今後どんどんコンテンツは増えていくのではないかなと考えております。

--現在のところau one ガジェットの提供は、公式のコンテンツプロバイダ様に限るということでしょうか?

今川 :  はい、そうですね。

--今後、これがオープンになっていくということはあり得るんでしょうか?

松原 :  PCでもそうですが、だんだんオープンになっていく方向性で間違いはないと思います。ただ、やはり始まったばかりということで、au one ガジェットそのものや利用シーンの周知といったところがまだ固まってはおりませんので、弊社の公式サービスや公式のコンテンツプロバイダのガジェットからのスタートというところからのスタートとなっています。

au one ガジェットの技術的な成り立ち

--au one ガジェットはOperaのエンジンを利用されているということで、Opera Softwareの壽さんにも同席していただいています。au one ガジェットの開発の難易度はどの程度なのでしょうか?

松原 :  EZアプリの制作よりは簡単かと思います。ただ、やはり携帯電話機のパフォーマンスの部分で制限はありますので、ほどよい頃合いの重さというのがどの程度なのか、複雑にするほど魅力的になる反面、反応が遅くなってしまうといった部分はあると思います。

壽(Opera社) :  au one ガジェットのベースとなったOperaウィジェットは、Operaブラウザのレンダリングエンジンを使ってウィジェットを表示しており、au one ガジェットにおいてもHTML/CSS/JavaScriptといったWebの技術を利用してガジェットを開発することができます。したがって、Web アプリケーションを開発できる技術を持っていれば、新しく何かを勉強する必要があるというようなハードルはまったくないですね。また、PCのウィジェットも、今回のau one ガジェットも、ほぼ同じ技術で実現できるというところは大きな特徴だと思います。  もちろん携帯とPCとでは、画面サイズやインターフェース、パフォーマンスの違いがありますので、PC向けに作成したものとまったく同じコードが携帯でもストレス無く動くというわけにはいきませんが、ユーザインターフェースなどの微調整で解決する場合も多く、それほど難しいことではないかと思います。

--OperaはPCと携帯というプラットフォーム間の差異を吸収する形になったわけですね。

壽 :  そうですね。Opera は、今後さらに別のプラットフォームにもウィジェットを提供していく計画があります。ゆくゆくはウィジェット/ガジェットを一つ開発すれば、ほとんどそのまま、PC や携帯をはじめさまざまなプラットフォーム上で同じウィジェットを利用できるようになるようにと考えております。例えばWebメールのデータを、さまざまなデバイスから、同じウィジェットのユーザインターフェースを通して閲覧することができるという形になれば理想的ですね。

--制限という部分ではどんな点がありますか?

今川 :  基本的にWebブラウザベースで動いていますので、本格的なアプリ実行環境であるEZアプリと比べると、表現できることにはある程度の制限があるかと思います。また通信を行った際にユーザ様の個人情報が不正なガジェットによってインターネットに流出することを防ぐため、携帯電話機が保持している情報については、電池の残量、日付・時刻、電波の強さといった、プライバシーに影響しない部分までしか参照できないという制限があります。

--au one ガジェットの通信の部分に関しては、どのような形になっていますか?

今川 :  待ち受け画面上で動作し、ユーザ様が操作しなくても一定間隔で情報を取得しに行くということになりますので、すべてのユーザ様が一斉に通信を始めるとなると、かなり大変なことになってしまいます。このため、情報の更新頻度はau one メールガジェットなど一部のガジェットのみ実験的に1時間おきとなっていますが、基本的に最短で2時間おきという制限を設けさせていただいています。また情報更新はXMLデータをダウンロードしてくる形になりますが、HTTPリクエストは1つずつ、また1ダウンロードあたり64キロバイトという制約もあります。

--スタートしたばかりでまだ対応機種が限られているということもあるかとは思いますが、今後の広がりの予測は?

今川 :  今年の夏・秋以降ですと、ほとんどの機種がau one ガジェット対応になりますので、普及に関しては時間の問題かなと考えています。  これは弊社の携帯電話機のプラットフォームのお話とも関係してくるんですが、現在の製品ラインアップは、いわゆる「KCP+」という新しいプラットフォームのものと、従来のものが共存している状態なんですね。そしてau one ガジェットは新しいプラットフォームのものに搭載されるという形になっていますので、今後KCP+に移行するにしたがって、対応機種も増えていくということになります。  au one ガジェットのポータルサイトの方は、現在ローンチタイトルからその次までの谷間の時期ということで、ボリューム的にはまだ少し物足りないところはありますが、新しいガジェットが出てきましたら随時お知らせして参りますので、今後はにぎやかになっていくと思っています。

--やはりPCの場合と同様に、携帯でも一般の個人の開発者がガジェットを作ってユーザ様に使ってもらえる形になると、さらに面白くなるということもあるかとは思いますが。

今川 :  そうですね。最終的にはそこを目指したいと考えています。商業ベース以外のところで制作されるチャネルができますと、もっとかゆいところに手が届くようなものも出てくるかと思いますので。PCでのように、自分で使いたいから作る、といったことが出てくるのは楽しみではありますね。

--公式のガジェットに採用するという前提でコンテストなどを開催されると……

今川 :  そのあたりはOperaさんと協力してできると面白い部分かもしれませんね。

壽 :  デスクトップ向けウィジェットのコンテストはこれまで何度か行っておりますので、今後は是非KDDI様と協力して au one ガジェットのコンテストを開催できると良いですね。さらにはPCと携帯両方で動作するウィジェットを集めることによって各プラットフォーム間でシナジーを生み出せれば、ウィジェット/ガジェットのマーケット自体も広がっていくのではないかと思います。

--ありがとうございました。

文:坂本 寛(タブロイド)/widgetown編集部
2008年5月20日

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松原 理

1988年4月に第二電電株式会社(現KDDI)入社。ネットワーク事業本部で交換技術部、運用企画部を歴任し、長距離電話ネットワークの全国拡大に従事。96年4月に移動体通信事業本部へ異動し、事業者間接続協議などを経て、2000年10月の合併後1xEV-DO推進室でWINブランドの立ち上げに従事。2004年4月からモバイルサービス部などサービス企画部門を歴任し、現在はネットワークサービス企画部モバイルネットサービスグループリーダーを務める。

今川 俊彦

1997年4月株式会社ツーカーセルラー東京入社。合併により2005年10月KDDI株式会社に入社。ツーカー時代にはお客様センターや営業企画部などに所属。KDDI入社後はモバイルサービス部およびauサービス企画部に所属し、安心ナビ、災害時ナビなどGPSを利用した安心系サービスの企画を担当後、2007年8月よりau one ガジェットプロジェクトを担当。2008年4月にコンテンツサービス企画部へ異動し、現在はゲーム関連サービス企画担当。

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