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第1回 マイクロソフト 藤沢聡明氏インタビュー Windows Vistaが切り拓くガジェットの未来
2007年1月に発売された最新のOSであるWindows Vistaには、ガジェットを簡単に管理・表示できる「Windowsサイドバー」が標準で搭載され、新たなプラットフォームとして大きな期待を寄せられています。また11月30日から公開されている「マイクロソフト・オフィシャルガジェット特集」では、デーブ・スペクター氏を起用したガジェット入門動画とともに、15社の協賛企業による17サービスの公式ガジェットが無償で配布され、活況を呈しています。こうしたガジェットに対するマイクロソフトの意欲的な取り組みや、ガジェットをとりまく現状、これからの展望について、藤沢聡明氏にうかがいました。
--まずこの時期にオフィシャルでガジェットを特集した経緯をお聞かせいただけますでしょうか。
※ガジェット特集はこちら
藤沢 : 今年の1月にWindows Vistaが発売された当初から、いくつかの企業さまにガジェットで何かできないかとお問い合わせをいただきまして。また弊社では、Windows Live Galleryというサイトを運営していますが、Windows Vistaユーザの利用率が非常に高かったんです。Windows Vistaにとってはじめての年末商戦で普及も急速に進むだろうということで、ガジェットをさらに多くの方に知っていただこうという流れですね。
--各企業へはマイクロソフトの方からアプローチされたんでしょうか?
藤沢 :
今回は主に旅行関係、オンラインのECサイト、映画やDVDなどエンタメ系、リクルートさんのような情報サービス、サンリオさんのようなキャラクタービジネスを展開しているところなどにご協力いただきました。JTBさんや全日空さんのように、以前からお問い合わせいただいていたところも合わせまして、ユーザのニーズが高いであろうところにしぼって、われわれの方からアプローチさせていただいた形です。
そもそも各企業の担当者の方が、ガジェットで何ができるのかということをすべてご存知ということはなかなかありませんので、夢は膨らむんですが(笑)。いかにガジェットとして適切な機能を盛り込みつつもシンプルにできるか、もしくは常時表示していて「かっこいい」「心地よい」などユーザーの感性に訴えかけられるかが重要ですというような説明から入っていきました。
--実際に反響を見て、ガジェットの人気・不人気の傾向はありますか?
藤沢 : 分かってはいたことですが、広告色が強いものは敬遠される傾向がありますね。やっぱり速報性のある情報を含んでいたり、エンターテインメント性の高いガジェットほど受け入れられ易い。ユーザのライフスタイルに合わせた機能の中に、いかにうまく企業のメッセージを織り込んでいくのかというのも重要ですね。今回の取り組みは主に企業がマーケティングツールとしてどうガジェットを活かせるか、といったことに重点を置いていますが、今後は広告プラットフォームとしての活用の可能性もありますので、広告代理店が企業向けの広告提案に盛り込んで活用をしていく事も考えられると思います。
--今後、ガジェットに対する認知度・注目度はどのように変化するんでしょうか?
藤沢 :
ガジェット自体はWindows Vista発売より以前から世の中にはたくさんあったわけですが、これまではユーザが積極的にアクセスしなければその存在に気付けなかったわけです。しかし、Windows VistaにはWindowsサイドバーという形でガジェットが最初からデスクトップに表示されている。Windows Vistaユーザのガジェット利用率が高いのも、それを反映しているわけですね。したがって、これからのWindows Vistaの普及に伴い、ガジェットの認知度は加速度的に高まっていくんじゃないかと。
ただ、ガジェットはまだまだこれからという部分も大きいので、今回3か月という比較的長いタームで、ボリューム感も出していこうという特集を目指しています。われわれとしましては、急速に注目を集めるというよりは、じっくりと活用していただくきっかけになれば、という考えで取り組んでいます。
--これまでマイクロソフト内部で、他の部署も平行して横断的にガジェットを大きく打ち出そうという動きはあったんでしょうか?
藤沢 : 正直、この特集をやるまでは社内的にもまだまだ十分な啓蒙はできていなかったように思います。われわれはどちらかと言えばネット側の部署ですし、今回はイニシアチブを取って社内も含めて巻き込んでいこうという形です。現在いくつかプロジェクトも走り始めているので、今後はマイクロソフト全体で大きく進めていきたいですね。
--ちなみに今回、デーブ・スペクターさんを起用したのは?
藤沢 : こういう言い方はあまり良くないのかもしれませんが、ガジェットにはちょっとテッキー(techie=テクノロジーオタク)なイメージもあったりするので、一般のユーザにとっても身近なものですよと面白おかしく伝えたかったんです。マイクロソフトは堅いイメージのある会社ですが、今までとは違う柔らかめのアプローチで、とにかくいろんな方に知ってもらいたかったので。特にガジェットだからデーブ・スペクターさんじゃなきゃいけないみたいな理由はないんですが。
--先ほども少しお話が出ましたが、Windowsサイドバーガジェットの特徴として、どのような点があるとお考えですか?
藤沢 : やはり常駐性・接触頻度が高いということでしょうか。Webブラウザを立ち上げる前にコミュニケーションが取れてしまうのは、ユーザビリティの面でも、企業のプライオリティの面でも有利な特徴だと思います。また自分で選んで登録するものなので、個々のガジェットに対してロイヤルティーが非常に高いというのもあるかと思います。
--ところで、近く大規模アップデート(SP3)も予定されているWindows XPに対して、Windowsサイドバーがリリースされることはないんでしょうか?
藤沢 : 今のところ予定はしておりません。XPで稼働する他社製のサイドバーはありますが、やはり追加でインストールしていただく形になり敷居も高くなりますので、われわれとしましては現在最善のプラットフォームであるWindows Vistaに標準で搭載されているサイドバーを介してガジェットをご利用いただくのがユーザにとってもベストの選択だと考えています。
--現在、国内外でどのくらいの数のガジェットが公開されているんでしょうか。また、今後の広がりの予測は?
藤沢 : 全部で33言語、サイドバー用のガジェットが約3,500個、Webガジェットが約1,600個ほどでしょうか。そのうち日本産はサイドバー用で140個、Web用で90個ほどと、ちょっと遅れている感じなんですが、数は全世界的に毎週3~4%くらいの割合で増えています。今後Windows Vistaの普及にしたがって、この割合は10%程度まで上がるんじゃないかと予測しています。
--日本発、海外で人気というガジェットというのはありますか?
藤沢 :
ほとんどないというのが現状です。ただ、逆に海外のガジェットで日本で目立って人気というものもないんです。これは言語・文化の壁というよりは、そもそもガジェットにはパーソナライゼーション・ツールという性格があるので、国という括りで区切る事が出来ない個々のユーザの趣味・嗜好に直接的な影響を受け易いがゆえじゃないでしょうか。
CPUメーターのようなツール系のガジェットは一般的に使われることもあると思いますが、これらはちょっとダウンロードして試しているということが多いものですので、やはり最終的には個々のニーズに合わせたエンターテインメント性の高いもの、ガジェットってこんな使い方があったのか、と思うようなものが伸びていくのではないかと。
--新しさを感じるガジェット、あるいは藤沢さんが個人的に欲しいこんなガジェット、みたいなものはありますか?
藤沢 :
「Web2.0」とはよく言われますが、各企業が今までWeb上で展開していたサービスをAPI化して公開する動きがありますので、これらがWindowsサイドバーガジェットというプラットフォーム上で自由にマッシュアップされて新しいものが生まれるというのは、われわれも期待するところですね。
個人的なお気に入りは、「JAL WORLD CLOCK」でしょうか。機能は要するに世界時計なんですが、飛行機のコクピットから世界の景色が見えていて、時間とともにそれが変わったりするんです。「時計は時計に非ず」と言うか、今後このような形で発想の転換による面白いアイデアで新しいガジェットが生まれてくると良いなと思います。
--最後に、Windowsサイドバーガジェットの普及の見通しをお聞かせください。
藤沢 : Windows Vistaのユーザでガジェットを積極的に利用しているのは、全体の4分の1程度というデータが出ています。これはかなり高い数値なのですが、もちろんわれわれとしましては、さらに残り4分の3の潜在的なユーザに対しても啓蒙していきたいと考えています。年末からWindows Vistaの様々なプロモーションも実施しますが、Windows Vistaの普及にしたがって、これまで一般的なユーザがポータルサイトや様々なウェブサイトなどで得ていた情報やサービスは、一部デスクトップ上からガジェットを介して直接利用されるようになるのではないか。具体的な数まではちょっと読めませんが、2008年度中には、かなり大きなユーザーの態度変容があると予想しています。
--ありがとうございました。
文:坂本 寛(タブロイド)/widgetown編集部
2008年1月8日
本インタビューでは、主に一般ユーザー向けの活動内容を中心にお話を伺いましたが、widgetownとしては、開発者に向けての活動も気になるところ。そこで、別途マイクロソフト社に伺ったところ下記のような回答を頂戴しました。
Vistaサイドバー・ガジェットはWindows Vista OSの新しいユーザーエクスペリエンスを提供するための主要コンポーネントとして、またWindows Live Webガジェットは新しいWebエクスペリエンスを提供するものとして登場しましたが、Microsoft自身がガジェットを提供するだけでは世界中の人々に満足いただける多様性、量など到底及びません。MicrosoftはVistaサイドバー、あるいはLive.comパーソナライズホームページ、Windows Live スペースなどガジェットを動作させるためのプラットフォームと、ガジェットのためのAPI(Application Programming Interface)を整備してSDK(Software Development Kit)として開発者の方向けに提供し、多様性を持った多くのガジェットを開発者の方々に開発いただいて提供していただくことが大切であると考えています。
こうした考えから、従来、Microsoft Platformでソフトウェア開発をしていただいている開発者向けの情報サイトMSDNにすべての開発リソースを集約させて、ガジェット開発に興味を持っていただくようにしているほか、Web開発者向けのイベント、ReMIXでガジェット開発のセッションを設け、2007年1月30日のWindows Vistaラウンチのタイミングに合わせて、ガジェット開発コンテストなども実施してきたほか、日経BP社やアイティメディアなど開発者にリレーションの強い媒体と一緒にガジェット開発の啓蒙もおこなってきています。
今後も引き続き、ガジェット開発コンテストやイベント、媒体を通じた啓蒙を続けてまいります。
マイクロソフト株式会社 藤沢聡明
マイクロソフト デジタル アドバタイジング ソリューションズ(MDAS)プランニング本部
アド プロダクト マネージメント グループ
プロダクトスペシャリスト
Windows Live関連サービスの広告商品開発担当
マイクロソフトが推し進めるソフトウェア+サービス戦略の一環で、Windows Vistaのサイドバーガジェットと
Windows Liveのウェブガジェットの普及促進、企業向けにガジェットを活用したマーケティングソリューションの
エバンジャライズなどに携わっています。
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