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第8回 マイスペース株式会社 大蘿淳司氏・オジー井上氏インタビュー MySpaceに広がる巨大なチャンスのプラットフォーム

MySpace Developer Platform(MDP)は、世界最大のソーシャルネットワーキングサービスで知られるマイスペース株式会社が提供する、新しいWebアプリケーション・プラットフォームです。桁違いの会員数をベースとした広大なネットワーク上に、自由にアプリケーションを構築できる環境ということで注目が集まる中、マイスペース株式会社の大蘿淳司氏・オジー井上氏にうかがいました。

MySpaceの特性を生かすMDPの仕組み

--まず、MDPの特徴はどのような点にあるとお考えでしょうか?

大蘿 : SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)がアプリケーションのプラットフォームとして面白いんじゃないかという点では、元々Facebookが先行していて、ある種の現象となっていました。もちろん、MySpaceも追いつかれているとは言いつつ、レジストレーションベースで約2億3,000万人のユーザがいますし、月間で1億1000万アクティブと、現在でもSNSの中では世界最大のサービスです。したがって、アプリケーションが広がるポテンシャルとしては非常に大きいものを持っていると思うんです。
 また国内最大のSNSであるmixiもそうですが、Facebookはクローズドなネットワークですので、アプリケーションが表示されるのは基本的に個人のページなんですね。すると、当然個人向けのサービス周りが中心となってきます。これに対してMySpaceの場合、インターネットにつないでいる人なら誰でも見ることができるオープンなプロフィールページと、自分にしか見えないユーザーホームの2つがあって、アプリケーションは片方だけにも、両方にも貼ることができる。すると、個人的な情報収集だけでなく、外側に向けた情報発信なども扱うことができるので、アプリケーションの自由度が高いということがあります。
 かつ、このようにオープンであるということも、最初の普及という側面で非常に有利だと考えています。例えば、検索で見つけた有名アーティストのプロフィールページで音楽系の面白いアプリケーションを見つけたら、ワンクリックで自分のページにも持ってくることができる。もちろん、フレンドから薦められる形でアプリケーションを知るというのもありますが、MySpaceはクローズドなフレンドネットワークとオープンなインターネットの両方のチャネルを同時に持っているので、普及のスピードは速いんじゃないかと思っています。

--MDP上のアプリケーションは、パーソナライズされたユーザーホームにも、外に向けて公開することが前提となっているプロフィールページのどちらにも、あるいはどちらか一方だけでも利用可能ということですか?

オジー : はい。例えばこのGraffitiのようなお絵かきツールですと、自分だけで落書きをするために使ったり、描いた絵を公開したり、フレンドとお互いに描いた絵を共有したりという風に使うことができます。
 また、通常のウィジェットやブログパーツとの大きな違いとして、MySpaceのアプリケーションでは、見る側と見られる側という2つの概念があるんです。このアプリケーションをインストールして見ているのがどんな人か、いつそのアプリケーションを見たかといった情報を共有することができるんですね。mixiさんの「足あと」機能なんかにも近いかもしれないですが。例えば弊社で相性診断のアプリケーションをテストで作成しているんですが、普通だったら自分の名前だったり、生年月日などを入力しなければいけないところを、自動的に取得して診断できるわけです。これは相手が見えているSNSだからこそできる機能だと思います。

大蘿 : 個人の情報というと通常は隠れているものですが、MySpaceで公開される前提になっているのは興味などのいわゆる「属性情報」であって、本当の意味での「個人情報」ではないわけです。そこをMDP上のアプリケーションで自由に使うことができる。もちろん、各ユーザが非公開にしている情報は使えません。見える範囲の情報だけ利用できるよ、という単純なルールですね。
 この範囲がどこまでOKなのかという点はアプリケーションの側では決められませんので、特にクローズドであることが前提となっているネットワークの場合には難しいと思うんです。したがって、SNSの中でもこうした自由度の高いアプリケーションを作成可能というのは、なかなかないんじゃないかと思います。

--自由度の高さに加え、開発の敷居の高さといった部分ではいかがでしょうか?

オジー : MySpaceでは基本的にHTMLやJavaScript、FlashのActionScriptといった、Webアプリケーションの開発者なら誰でも使ったことがあるような言語で簡単に作ることができます。アプリケーションを作成するのに何か新しいことを覚えなければいけないようなことは、基本的にはほとんどないです。開発の敷居はかなり低くなっていると思います。またMySpace、Googleが参加するOpen Social Foundationで策定された「OpenSocial」の仕様に準拠しておりますので、汎用性も非常に高くなっていると思います。

ユーザ参加型のMDPが生み出す平等な収益機会

--アプリケーション開発の収益モデルはどのような形になっているんでしょうか?

大蘿 : 通常SNSは経済活動禁止みたいなところがありまして、MySpaceの場合にはプロフィールページにバナー広告は貼らないでねとなっていますので、アプリケーション自体にバナーなどを表示させることはできませんが、アプリケーションから1ページ飛んだ先にキャンバスページというのがありまして、ここは自由に使って構わないということになっています。

オジー : キャンバスページは、各アプリケーションをユーザが自分のアカウントにインストールすると出てくるようになるページで、そのアプリケーションの管理ページみたいなものです。アプリケーションそのものを表示したり、プロフィールページに表示させるかどうかをここで管理したり、変更したりすることができます。
 やり方によってはこのページで結構トラフィックが生まれるかなと思っておりまして、アプリケーションの開発者がこのページにGoogle AdSenseなどのアフィリエイトや普通のバナーなどを自由に入れられるようになっています。ここから上がる収益は100%それを貼った開発者側のものということになります。

--お金が動くかどうかは、やはり開発者のモチベーションの部分でも違ってくるかと思います。

大蘿 : 有名になるのもいいんですけど、結局ビジネスモデルがないと報われないという部分がありますよね。作ったアプリケーションにアフィリエイトを放り込んでおいたら、それを100万人が利用してくれて、生活が成り立っちゃったかもみたいなことができればいいかなと。
 先ほども言いましたが、MySpaceはオープンになっているので、例えば10万人しかインストールしていなかったとしても、他のユーザに見られることによって100万人になることも十分あり得るわけで、やはりそこが特徴というか面白さになっていくかなと思います。

--収益の機会は開発者に還元されるということになりますと、MySpaceさんにとってのメリットはどこになるんでしょうか?

大蘿 : アプリケーションによってMySpaceのサービスやプロフィールが面白くなって、MySpace全体のページビューやユニークユーザ数になって返ってくることで十分なメリットはあります。MySpaceはサービスが出来た当初から、コードを貼り付けてどんどんカスタマイズできる仕組みでした。その意味では、Facebookなどがやる随分前から、アプリを貼り付けることはできたわけですが、MDPによってそれをより簡単に開発でき、かつ、利用者にもより簡単に貼り付けられるようにしたということなんです。利用者にとってみれば、面白かったりデザインが良かったり、便利だったりすれば、MySpaceが作ったものなのか、第3者が作ったものなのかはあまり関係ないですし。そういう意味では、ユーザ参加型でコンテンツやアプリケーションができてくれれば、われわれが開発リソースを投資しなくてもよいというメリットになります。これは他の企業でもそうですが、バイラル(=感染性)があることによってさらに強調される部分があると思います。

--コンテンツだけではなく、機能もユーザが作ってくれるということですね。

大蘿 : そうですね。しかも、MySpaceのオープンプロフィールというコンセプトはそこでもやはりすごく強力で、例えば写真のアルバムを作るという場合、フレンドのアルバムをコラージュして表示したりもできる。マドンナみたいな著名人とつながっていたりすると、彼らが公開許可している写真を持ってきて、自分のページ上に表示できてしまうわけです。自分のコンテンツだけではなくて、フレンドネットワーク上にあるコンテンツも活用できるというのは、オープンの前提があるからこそできることで、他ではできないことです。アプリケーションが個人で閉じてしまわないという面白さには、ものすごく可能性が広がっていると思います。

オジー : MySpaceですと、やはり全世界に向けて発信できるという点は大きいかと思います。ユーザ参加型ということで言いますと、最近話題になっている初音ミクのブログパーツを作っていらっしゃるような方もMySpaceに登録されていて、実は開発中のものも含めるともう20個くらいアプリケーションを作ろうとされていまして。まさに世界を席巻しようとされています(一同・笑)。日本のアニメなどは、やはり世界に出て行くと一気にものすごい広がりを見せたりしますし。
 アプリケーション自体の多言語対応はまだ追いついてない部分もありますが、音楽だったり、先ほどのお絵かきであったり、ゲームっぽいものだったり、あまり言葉が関係しないジャンルも多いと思いますし。なにしろ世界最大規模の市場がありますので、地球の裏側で大流行ということも十分にあると思いますので、是非開発に積極的に参加していただきたいなと思っています。

--ありがとうございました。

文:坂本 寛(タブロイド)/widgetown編集部
2008年4月30日

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大蘿 淳司

マイスペース株式会社 CEO
広島県生まれ。早稲田大学大学院卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)入社。
日本コカ・コーラ社のブランド・マネージャ、リシュモンジャパン ブランドCEO、ディールタイムドットコム副社長、ドコモAOL CMOなどを経てヤフー入社。PS本部長、マーケティング本部長を歴任。

オジー 井上

マイスペース株式会社 プロデューサー
ポータル、コマース、情報系サイト等の立ち上げを経験し。2006年よりMySpace Japanの立ち上げに携わる。
現在サイトの総合プロデュースを行いながら、MySpace Japan登録ユーザー全員のフレンドとして、ユーザーとの直接コミュニケーションも日々行っている。

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