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第5回:野村不動産 「プラウドウォッチ」 ウィジェット制作レポート

不動産会社とデスクトップウィジェット、そこに隠されていた「チャレンジ精神」と「こだわり」

野村不動産株式会社の商品ブランド『PROUD』のWebサイトにて、ひとつのデスクトップウィジェットが配布されている。RSSリーダーを搭載した4タイプの時計ウィジェットである。このウィジェットは、同サイト内のコンテンツ『プラウドクラブ』会員登録時の入会特典として使用されているデジタルノベルティだ。不動産会社とデスクトップウィジェット。一見するとピンとくる組み合わせではないものの、そこには不動産業界ならではのWebを有効活用した戦略的なマーケティング、野村不動産ならではの「チャレンジ精神」と「こだわり」が隠れていた。

そもそも、デジタルノベルティに着眼した理由にも、それが隠れている。不動産会社にとって、ターゲットへのアプローチとしてWebを活用することは、もはや常識といっても過言ではない。そのWebコンテンツを構えるにあたり、キーポイントとなっているのが、潜在層をいかに顕在層に変えられるかである。 『プラウドクラブ』でもすでに様々な試行はされており、メール配信はもちろんのこと、マイページ機能も構築している。しかしながら、次なるステップへと進むためには、プラウドクラブ会員のロイヤリティ向上が必要だと考えた。何か新しいものを、と悩んだ末に辿り着いたのがデジタルノベルティだったのである。ユーザーにとって付加価値となるものを配布し、満足度を高めていくのが狙いだ。中でもウィジェットを選んだ理由は、「常にデスクトップ上に置いてもらえる」というウィジェットの常駐性に目をつけたからだ。彼らはこの特性をうまく使い、そこに野村不動産のインナーコンセプトである「こだわり」をふんだんに盛り込んでいる。

デザインにとことん「こだわる」=長く愛されるウィジェットを作り出す

しかしながら、ウィジェット自体の機能としては、時計とRSSリーダーのみという非常にシンプルなものだ。しかも機能のひとつを時計に決定したのはブランドコンセプトの「世界一の時間へ」にちなんだからであり、RSSリーダーはマイページ機能にRSSリーダーを追加したタイミングと同時期のリリースとなったのが理由だと言う。ここに機能に対する特別な「こだわり」は見えづらい。では、彼らの「こだわり」はどこにあるのか。

彼らの「こだわり」のひとつは「上質感」。制作するにあたり、中核となったのがこのキーワードである。この「上質感」について、今回のプロジェクトの中心人物であった営業企画課の佐々木まどか氏は、こう語る。
「時計のウィジェットは世の中に数多く出回っていますが、上質感あふれる素敵な時計を見たことがありませんでした。そこで、私どもが考えるこだわりを投影したウィジェットを会員に提供することで、プラウドが伝えたいものを共有できるのではないかと考えました。」

この「上質感」を出すために彼らがこだわった部分、それは時計のデザイン。ブランドショップに並んでいるような、素敵な腕時計のフェイスをデスクトップに置きたい。デザインに凝ることによって、自分たちの商品同様、ユーザーに長く愛されるウィジェットにしたい。この「こだわり」を持って、ウィジェットの制作は進められていった。

細部にまで上質感を追求したウィジェット制作は、まるで“ものづくり”そのもの

佐々木まどか氏は、普段、『プラウドクラブ』のコンテンツ制作に携わっている。Webサイトの制作には慣れている彼女だが、ウィジェット制作においては、考え方の違いに大きく苦戦したと言う。
「まるで違う仕事だな、という印象でした。Webコンテンツの制作はインパクトが勝負です。例えるなら、ショップのショーウィンドウを飾るようなイメージです。どれだけ目に止まって次へ誘導できるかが重要です。しかし、ウィジェット制作はまるで“ものづくり”そのものでした。こちらの場合は、ショップに置かれる商品を作るイメージですね。どれだけ愛されて使われるものに出来るかが制作する上でのポイントになりました。」

試行錯誤の末、進められていった“ものづくり”は、ウィジェット制作会社とのデザインに関するやりとりのメール数が3桁にのぼったという話からも、その苦労が伺える。デザインに対するこだわりが細部にわたり追求されているのである。派手になりすぎず、かつ地味にならない時計のデザインを探し求めて様々な部分にこだわったと言う。そのため、文字盤の数字ひとつを選ぶのに500種にわたるフォント候補の中から選び出したり、思い通りのフェイスの色を探し出すのに世界中のサイトを探し回り希望の色に辿り着いたりと、彼らの今回の“ものづくり”に対する「こだわり」を列挙していくときりがない。一目見ただけでは気付かない点も、ひとつひとつ丁寧に作りこんでいったと言う。

まずはやってみることが大切。その結果を次につなげていくという戦略

様々な苦戦を繰り返し、ようやく完成したウィジェットだが、その効果は充分に満足できるものであると言う。ユーザーからの反応もよく、ダウンロード数も順調にのびており、当初に想定していたコストパフォーマンスを超える良い結果が出ているとのこと。最もこだわって作ったというクロノグラフタイプが、一番人気だそうだ。彼らの「こだわり」がユーザーに認められた証である。つまり、彼らの戦略は「あたり」だったわけである。

「新しいものを見つけ出したら、まずはやってみることが大切です。そこで実績を積み、得られた結果によって、つぎの戦略を考えていきます。」と佐々木氏は語る。野村不動産においては、何事もこのように進められていくと言う。このチャレンジ精神が今回のウィジェット制作にもつながったわけである。

最後に、今回の感想と今後、更なる展開について質問をぶつけてみたところ、このような答えが返ってきた。 「実は、社内からの発案で、いちからスタートした企画というのは今回が初めてでした。全てが初めてですので、とても苦労しました。しかしその甲斐あって利用者の皆さまからの反響も良く、やって良かったなと思っています。ウィジェットに関しては、今後、展開するとしたらパーソナライズを進めていきたいですね。あと、あっと驚くようなブログパーツも作ってみたいです。」
彼らのチャレンジ精神は、尽きることはないようだ。次なる施策もどんどんと練られていることだろう。

このように戦略的マーケティングに加え、「こだわり」を持って作られたウィジェットは、そうそう出会えないのではないだろうか。しかしながら、同時にウィジェットを成功させるには、それだけの熱意がないと容易には行かないのだろうと考えさせられた。


『プラウドクラブ』
http://www.proudclub.net/

文:widgetown編集部
2008年3月11日

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