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第9回 ヤフー株式会社 菊地裕信氏インタビュー Yahoo!ウィジェットがもたらすエコシステム

Yahoo! JAPANが提供するYahoo!ウィジェットは、数あるウィジェットプラットフォームの中でも、間違いなく最大規模のユーザ数を誇っているサービスのひとつです。国内最大級の検索・ポータルサイトとしての圧倒的な集客力を背景とした大きなプロモーション効果や、そこから得られた開発者とユーザから成るYahoo!ウィジェットのコミュニティーがどのようにシステム化されているのかなどについて、ヤフー株式会社の菊地裕信氏にうかがいました。

プラットフォームとしてのYahoo!ウィジェット

--まず、Yahoo!ウィジェットの提供を始められた経緯をお聞かせください。

菊地 : Yahoo!ウィジェットの開始は2006年9月4日からなんですが、そもそもデスクトップアプリケーションとしましては、それ以前からYahoo!ツールバーを提供させていただいています。しかし、ツールバーはどうしてもWebブラウザに依存する形のアプリケーションです。そこにウィジェットというものが出てきました。これはWebブラウザを開かなくても、デスクトップに常駐して弊社のサービスを手軽に利用していただける新しい窓口になるだろう、ということで始まりました。
 もちろん、開発者の方にも広く作り方を公開しまして、弊社が提供するウィジェットだけではなく、随時投稿も受け付けるという形で展開しています。

--Yahoo!ウィジェットの特徴はどんなところでしょうか?

菊地 : やはりYahoo! JAPANのサービスと親和性が高いという点が挙げられます。例えば、ウィジェットエンジンそのものにYahoo! JAPANへのログイン機能が搭載されていますので(バージョン4.0以降でオートログイン機能を搭載済み)、こちらで一度ログインしてしまえば、ウィジェットから自動的にログインしてYahoo! JAPANのサービスを利用できるようになっています。
 もう一つは対応プラットフォームが多いという点が挙げられます。他社様の提供なさっているウィジェットでは、対応プラットフォームが限られているなどの場合もありますが、Yahoo!ウィジェットはWindows 2000/XP/Vistaと、最新のLeopardにはまだなんですが、Macにも基本的には対応しているという形で提供させていただいています。
 また、ギャラリーの利用が活発であるというところも特徴として挙げられるかと思います。各ウィジェットのページにはコメントがつけられるようになっていまして、ここで開発者がお客様の要望を受けてバージョンアップをくり返すというサイクルが生まれるわけですが、その頻度はかなり高いものになっています。こうしたギャラリーでのコミュニケーションによって、お客様にとっても開発者にとっても、より良いウィジェットができていく環境ができているんじゃないかと考えています。

--Yahoo!ウィジェットの開発の難易度という面はいかがでしょうか?

菊地 : 専用の開発ツール、およびそのリファレンスやチュートリアルも提供していますので、別途有料の開発ソフトなどを購入する必要はありません。基本的にテキストエディタがあれば開発に入れるようになっています。JavaScriptとXMLがベースですので、書店でも関連書籍は入手しやすいですし、インターネット上にもたくさん情報がありますので、プログラミングの敷居は低く抑えられているかと思います。

--日本語のドキュメントがしっかりと整備されているのはかなり大きいですよね。では、開発したウィジェットの投稿や、ギャラリーに掲載されるまでの手順はどのような形になっているんでしょうか?

菊地 : ギャラリーの「投稿する」ボタンからYahoo! JAPANのアカウントでログイン後、表示される利用規約に同意していただければ、ウィジェットの投稿が可能になっています。ただし、プログラムのコードチェックも含めた審査がありまして、場合によってはお断りする形になります。  例えばこちらのgooリアルタイムキーワードはgooさんのサービスを利用するウィジェットですが、ギャラリーの選考基準で他社さんのサービスを排除するということもありません。ウィジェットとしてユーザにとって使い勝手の良いものであれば、問題なく掲載されるという形になっています。
 やはり今はギャラリーに多彩なウィジェットをどんどん掲載していって盛り上げていくフェーズだと考えていますので、あまり厳密にこれはダメあれはダメというようなことではなく、ケースバイケースで対応させていただければと考えています。

企業や開発者へ向けた取り組み

--企業がYahoo!ウィジェットを提供されている事例というとどんなものがありますか?

菊地 : 松坂屋上野店さんのさくらパンダ ウィジェットですとか、森永製菓さんのウイダーinゼリー・オリジナルウィジェットなど、かなり増えてきています。日産さんのGT-R カウントダウン ウィジェットなどは、かなりコメントも付いて反響が大きかったですね。

--開発者向けのサポートというところで取り組んでいらっしゃることは他に何かありますでしょうか?

菊地 : Yahoo!グループというサービス内にYJDN-widgetsというグループがありまして、こちらに登録していただくと、開発者同士の情報共有していただくことができます。
 昨年はWEB API コンテストというコンテストの中にウィジェット部門を設けておりました。この時はさすがに応募が相当たくさん来まして、こちらの審査が追いつかないくらいで、ギャラリーに掲載する作業もかなり大変でした(笑)。
 今年は※Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード2008のほうで、ウェブコンテンツ部門というものを設定してそこでウィジェットも募集しています。
 また、先ほどお話ししましたコメント欄に関してですが、できるだけたくさんの方に書いていただけるような施策を打っていきたいと考えています。例えば、最近ギャラリーに追加した機能ですと、最新のコメントをRSSで取得できるようになっているんですね。これは開発者にとって自分が投稿したウィジェットの反響を確認するのにも、ユーザにとって自分のお気に入りのウィジェットに何かコメントが付いたかなということでも便利かなと思います。
 さらに、こちらも最近追加した機能ですが、お気に入りのウィジェットがあったら、それをブログパーツとして、実際に動きはしないんですけれども、宣伝するバナーを作成できるようにもなっています。開発者の方は自分のブログなどに作成したバナーを貼り付けていただいて、クリックするとそのウィジェットのページに飛んでくる、と。さらにそのウィジェットを気に入ったユーザも、同様にして他のユーザにも簡単にビジュアル付きで宣伝できるわけですね。開発者にとっては、ここに登録するだけで簡単に宣伝できる、宣伝してもらえる可能性が高くなるということで、メリットになるのではないかなと考えています。

--それでは最後に、Yahoo!ウィジェット開発者に向けてのメッセージをお願いします。

菊地 : ウィジェットエンジンの次のバージョン4.5ではFlashにも対応しますし、HTMLもIEやFirefoxとまったく同じというわけにはいきませんが、表示できるようになる予定です。これが実現しますと、既存のコンテンツを利用したウィジェットも簡単にできるようになりますし、新たに制作する上でも、より手軽にリッチなコンテンツを制作できるようになります。またFlashで作るのは難しいという方でも、例えば小さなHTMLを書いていただいて、それをウィジェット化するコードだけ覚えれば、簡易的なウィジェットは作れるようになります。このバージョンアップに関しましては、できるだけ早くリリースできるよう鋭意進めておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。
 あとこれは構想段階ですが、プログラムのコーディングができなくても、選択していくだけでちょっとした自分仕様の時計ウィジェットやRSSリーダーなどを作れるような機能も追加していきたいと考えております。
 われわれとしましてもギャラリーの充実は至上命題として掲げていますので、是非さまざまなウィジェットを制作・投稿いただければ幸いです。何卒よろしくお願いします。

--ありがとうございました。

文:坂本 寛(タブロイド)/widgetown編集部
2008年5月13日

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※「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード」は、インターネット関連で革新的なクリエイティブ制作を行なうクリエイター、新しいインターネット広告の可能性を開拓した広告活動を顕彰することで、今後のインターネットと広告のさらなる発展を目的としたアワードです。第3回目となる「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード2008」の応募期間(一般の部)は、7月1日から8月8日までです。

菊地 裕信

ヤフー株式会社 サービス統括部 企画2部 製品企画
2006年にYahoo! JAPANに入社。以後、Yahoo!ウィジェットのプロジェクトリーダーとして、サービスに携わる。

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