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第1回 「フネログ」をちょっとだけ解体?!
というわけで、記念すべき(?!)『昼下がりのレポート』第1回は、「フネログ」の制作者 柳谷 武氏(株式会社カンドウコーポレーション)をお迎えしてスタートしたいと思います。
登録をすると自分の船が持て、同じブログパーツを貼っているブログを訪れると、その船でブログパーツ上の海を航海できるというゲームが楽しめる。また、航海していくと様々なアイテムがもらえ、オリジナルの船を作ることが出来る。いわゆる「育成系」のブログパーツなのだが、配布している会社が常石造船カンパニーという造船会社なのも気になるところ。
--まずは、どのようないきさつで、常石造船さんの採用サイトで今回の企画が上がったのですか?
柳谷 : 採用募集にあたり、造船に関わることは「グローバルなことだ」「誇りを持てることだ」というメッセージの発信と、認識の共有が目的でした。ただ単に、造船業で働きたい工業系の方の採用ではなく常石さんの次の時代を築くことのできる「夢とクリエイティブ魂を持っているような人材」を募集したいという要望もあり、造船=作業員といった考え方ではなく、造船=グローバルワークというイメージ・メッセージを感じ取ってもらいたいという発想でした。
--なるほど。かくいう私自身も、造船会社さんって硬派なイメージだったので、今回の企画には少なからず驚かされたひとりです。では、「ブログパーツ」に目を付けた理由はどこにあるのでしょうか?
柳谷 : ブログパーツの広告的魅力となるキーワードは「継続」だと思っています。 一度遊んだら終わりになるコンテンツではなく、なんどもアクセスしてもらえたり、日課の一部になるような位置づけのツールでメッセージを発信できる、密着した広告が作れるのがブログパーツの良いところなのではないでしょうか。日課のブログのアクセサリーとして、ユーザーが置いておきたいものを作り、その中に、押し付けではない距離感でクライアントが発信したいメッセージをこめることができるツール。ということでチョイスしました。
「夢とクリエイティブ魂を持っているような人材」が興味を持つような遊び心があるコンテンツが普及しやすいツールでもありますしね。
--柳谷さんは、実際に制作・開発に携わっていらしたわけですが、その際に苦労した点は何かありますか?
柳谷 : 当初はサーバプログラムを使った企画でしたが、途中急遽扱えなくなり、企画の方向転換を余儀なくされ、いまのかたちになりました。ポジティブに考えれば、そのおかげでオリジナリティーのあるゲームシステムが作れたので良い「制限」だったと思っています。--「フネログ」が自分の船しか見えない理由は、そこにあったんですね。ちなみにですが、「当初の企画」とは、どのような感じのものだったんですか?差し支えなければ少し教えてください。
柳谷 : そうですねー。現在はどこのブログにいっても、自分の船しか見えず、ほかの人に自分の船をみてもらうことができません。元の企画ではフネログのユーザー同士が同じブログに訪れていると、お互いの船がブログツールの中にでてくるイメージでした。--確かに、やってみると、他の人の船は多少気になるところではありますね。ですが、ブロガーさんの中には、自分でキャプチャを撮って紹介している人も結構いらっしゃいますしね。色々と企画段階でもご苦労があったようですが(笑)、この企画上の「制限」を上手く利用した企画は柳谷さんご自身が考えられたものなのでしょうか?
柳谷 : えーと、代理店の営業さん、社外のディレクターさんなどおられるので、一人で作ったわけではありません。 ぼくが得意なのは「制作」なのですが、こういった面白系の案件では、企画から任されることがよくあります。 フネログの案件はまさに面白系の仕事で、楽しませていただきました('u')--昨年(2007年)の夏頃から、じわじわと「フネログ」の人気が上がってきたように思うのですが、リリースはいつ頃だったのでしょうか?また、何か主だったプロモーションは、されていましたか?
柳谷 : 代理店さんも大掛かりにプロモーションはしていないと思います。リリースは、2006年夏、御質問で「人気が上がった」といわれていた1年前ですね。参加ユーザーが増えた大きなきっかけは、1年間クチコミでじわじわ広まった後、ネットPR.JPさんに取り上げられたことだと思います。
--クチコミの効果は、ロングテールだと良く言われていますが、まさにそのとおりだった訳ですね。では、これだけの人気が出た理由はどのあたりにあると思われますか?
柳谷 : 継続して遊べる。ほったらかせる。長く遊んでも飽きない細く長く貼っておいてもらえるところがよかったのではないでしょうか。もうひとつは、広く一般的に興味をもってもらうために、船好きな方よりも、かわいいもの好き・育てるの好きな方に興味を持ってもらえる世界観を描けたこと。この二つだと思っています。逆にウィジェットの専門家の方の目線ではどう思われましたでしょうか?
--そうですね、「ほったらかせる」のは私個人としても魅力的です(笑)。一般的な育て系は、ほったらかすとアウトになってしまい、結局、長いスパンでの継続は難しいのが実際ですし。 ちなみに、自分のブログに貼っているわが社の社員からは、以下のようなコメントをもらいました。「双方向のコミュニケーションを必要としないものでも、フネログを貼っているブロガーさんを船員にするために、ブログを探し、ひとことお礼を言って船員になってもらうという行為がほどよいコミュニケーションで自分の楽しみと知らないブロガー同士の交流がとてもよいバランスででき上がっているのが、静かに広がり続けている要因ではないかと思います。実際私のブログにも未だにフネログを検索キーワードにした来訪者が後を絶たず、何人もの方がコメントを残しながら船員に雇われ(?)ています(笑)。」
--ブログパーツの人気が上がったことで、それに応じた実際の効果は何かありましたか?例えば、入社希望数が上がったなどのリアルに通じる効果などもあればお聞かせ下さい。
柳谷 : リクルートサイトのおまけツールでしたので、入社希望者数が気になるところですが、代理店さんに聞いてみたところ、希望者数30%増だったそうです。さらに、質が変わったとのことで、暦年、理系でまじめな方が多かったそうですが、異業種や発想豊かな方が増え、リアルな成果に通じていたようです。--かなり、リアルな部分でも効果ありだったようですね。 少し、柳谷さんご本人に関してお伺いしたいのですが、柳谷さんは普段からブログパーツを作られているのでしょうか?それとも普段、メインにされているお仕事は少し異なるのでしょうか?
柳谷 : (ブログパーツの)案件があれば作りたいのですが、広島にはあまりニーズはないようです。 社内でフラッシュ制作をするのは、ぼくだけです。弊社としては、SEOを考慮したサイトデザインの企画制作をおこなっていますが、自社の実績に掲載できない代理店さんが絡んだ案件では、フルフラッシュサイトなど多く実績はあります。--今回、「フネログ」は、ブログパーツで展開されたわけですが、今後、他に作ってみたいウィジェットはありますか?
柳谷 : AIRの制作はしてみたいとおもっています。ファイルのドラッグインやファイル生成などを使ったウェブ制作ワークフロー改善ツールやオリジナルのCMS投稿ガジェットなどを作ってみたいです。
--Adobe AIRは、やはり皆さん注目されていらっしゃるんですね。widgetownでも近日、Adobe AIRに関する特集を予定していますので、是非、読んでいただければ(笑)。
--最後となってしまいますが、制作者から見た「フネログのポイント」を含めて、一言お願いします!
柳谷 : データの蓄積・ユーザー間のデータのやり取りなど、サーバプログラムをなにも使っていないことでしょうか。このフネログの開発を始めた際、プライバシー保護の観点からずいぶんサーバプログラムの使用に制限がありました。この制限を考慮しつつ、ユーザー間にコミュニケーションが生まれる仕組みができたことは、開発者としては、かなりポイントです。
制限の中でできる限り面白く作れたとは思いますが、遊んでいただいているユーザーさんからしてみたら、なぜ他の人の船が見れないの?など疑問もわくかとおもいます。
ですが、制限があってこそ、今のフネログのシステムが生まれたのだと思っています。
制限で生まれた発想ですが、うまくまとまったものが作れたと思っています。
今後、違う案件でもフネログのノウハウをいかしてクリエイティブに携わっていければと思っております。
--ありがとうございました。
新シリーズ『昼下がりのレポート』、いかがでしたでしょうか。
独自の世界観を持っている「フネログ」が、まさか、制限の中から生まれてきたものとは驚きでした。通常であれば、そこで止まってしまいがちな制限をうまく利用できたからこそ、ロングテールで人気のあるブログパーツが作れたのではないでしょうか。
ひとつのウィジェットの裏を見てみると、そこには様々な思いがつまっているんだな、と感じられた第1回目のインタビューでした。今後も『昼下がりのレポート』では、そんなウィジェットの裏側をのぞいて行きたいと思います。
2008年3月25日
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